借金には時効が存在する?あまり知られていない借金の秘密

借金は、必ず返さなければならないものだと思われていますが、じつは時効がこれば返さなくてよくなります。ただし借金の時効は、借りた相手や何に使うかによって成立する期間が変わり、状況によっては時効が中断されることもあるので、正しい知識をもっておきましょう。

管理人

借金に時効があるってヤバくない?借金した人は逃げまくりじゃない?


天使

それがそうでもないんだよ。時効制度は確かにあるけど、時効になるまでの条件がたくさんあるんだ。

借金の契約は時間が過ぎると時効になることも

借金の契約は時間が過ぎると時効になることも

時効とは、ある出来事から一定期間が過ぎると、法律の効果が消えたり現状に合わせた法律が適用されたりする制度です。事件などで、犯人が逮捕されないまま時間が過ぎて時効になった話を聞いたことがあると思いますが、犯罪などの刑事事件だけでなく、借金などの民法上の行為にも時効は適用されます。

市民の生活や契約についての基本ルールを定めている民法では、時効を「ある事実や状態が一定時間続いたときに、現状に合わせて法律的な権利を取得したり、失ったりする制度」として定めています。そのため借金のような契約も、時間が経過すると時効になる場合があります。

時効には他人のものを手に入れる取得時効と権利が失われる消滅時効がある

民事の時効には、取得時効と消滅時効があります。取得時効は、他人のものを一定の間所有し続けることで、自分のものにできる時効です。たとえば、他人の土地に相手の了承なく一定期間住み続けることで、その土地が他人の名前で登記されていても、自分の土地として主張できるようになります。

消滅時効は、取得時効の逆で、一定期間権利を行使しないと、権利を失ってしまう時効です。こちらが借金の契約に適用される時効で、お金を貸した側が借りた側に借金の返済を請求する権利を一定期間行使しないと、請求する権利が消滅することになります。

ただし、どちらの時効も自動的に成立するわけではありません。他人の土地を時効で取得するなら元の土地の所有者に、また借金の請求を消滅させるには借りた相手に、それぞれ時効制度を利用することを伝えることが必要です。そのときは文書にしなくても、口頭で「時効制度を利用する」と伝えるだけで、有効になります。

借金の種類によって消滅時効までの期間が変わる

借金の契約が消滅時効で失われるまでの期間は、お金を貸す人(貸主)やお金を借りる人(借主)の立場によって変わります。

法律上、お金を貸したときには、「財産に関する請求の権利」である債権が発生します。貸主と借主のどちらか、または両方の立場が個人事業主や法人などの「商法上の商人」にあたる場合、借金の債権は商法522条の商事債権になり、時効で債権が消滅するまでの期間が5年になります。

貸主と借主双方が商人でない場合は、民法で規定された一般的な債権になるので、消滅するまでの期間は10年です。

管理人

貸主や借主が商人かどうかで期間が大きく違うんだな。


天使

そうだね。5年と10年って相当大きな差だから、時効を行使したいなら最低限覚えておきたいね。

借りる相手によっては法人などでも時効期間が10年に

借りる相手によっては法人などでも時効期間が10年に

借りる相手が法人などであっても、個人として借金をすると時効が成立するまでの期間が5年ではなく10年になります。

銀行や貸金業者から借りるとき
銀行や消費者金融などの貸金業者からお金を借りた場合の債権消滅までの期間は、5年です。ただし個人で貸金業を営んでいる場合、商人にあたらないという判例があるので、個人の貸金業者に商人以外がお金を借りると時効成立までの期間が10年になることがあります。
信用金庫や信用組合から借りるとき
信用金庫や信用組合から個人がお金を借りると、時効期間が10年になります。これは信用金庫や信用組合の業務が営利目的ではなく、商人ではないという判例があるからです。ただし、法人や個人事業主が商業的な目的のために借りる場合は、商業債権になり期間が5年になります。
住宅金融支援機構から住宅ローンを受けるとき
住宅を購入するときに住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)でお金を借りたときは、時効期間が10年になります。住宅ローンは商業目的の借金ではないうえ、住宅金融支援機構は公的な独立行政法人であり商人にあたらないからです。
保証協会が本人に代わって借金を返済したとき
保証協会は、会員の支払い能力を保証し、もし会員が借金や損害金を支払えないときは、代わりに支払う「代位弁済」をしてくれる組織です。保証協会が代位弁済を行った場合、会員のかわりに支払った金額分を請求できる求償権が発生します。

保証協会は、基本的に法律によって設立・運営されています。そのため求償権の期間は、一般的な債権と同じ10年になります。ただし、保証が個人事業主や会社などの法人に対して行われた場合は、商事債権の時効期間である5年が適用されます。

借金を認めると時効までの期間が伸びる

借金の消滅時効は、借りる側にとって天の助けともいえる制度ですが、落とし穴も存在しています。とくに、消滅時効が成立するときに「貸した側が債権を行使しない」という条件を見落とすと、時効が中断されて成立しない場合があります。

時効の中断とは、時効の進行が止まり、時効成立までの期間がリセットされてしまうことです。たとえば借主が借りたお金を少しでも返済してしまうと、貸した側が権利を行使したことになり、時効が中断されます。このように時効が中断されると、借りた日ではなく、最後に返済した日が時効期間を計算する起点になって、成立するまでの期間が伸びてしまいます。

また、返済していなくても、支払いを約束する証書にサインするなど、借金があることを認めるとその時点で時効は中断されます。しかも、時効期間が過ぎた後であっても、返済などの借金を認める行動をとったときは、時効を利用しないという意志があるとして、時効を利用する権利がなくなります。

ただし、消費者金融などが借金の時効期間が過ぎた利用者に少額の返済をさせて、時効の権利喪失を狙った事例では、信義に反する行為として消費者金融側の主張する権利喪失が認められなかったこともあります。

貸主からの訴えで時効中断がおきることも

貸主からの訴えで時効中断がおきることも

貸主は、時効が成立する前に裁判所に訴えることで、時効を中断させることができます。その場合、直接民事裁判を起こす「訴訟」だけでなく、簡易裁判所へ申し立てて裁判所が貸主のかわりに返済を命令する「支払督促」や、裁判所で話し合って解決する「調停」でも中断できます。

また、裁判所を通さず話し合って成立した内容に裁判所にお墨付きをもらう「即決和解」や、裁判所から許可をもらって財産の「差し押さえ」などをしたときにも時効が中断します。

ほかにも、支払いを催促する書類を内容証明郵便などで借主に送った場合は、6カ月中断させることができます。ただし、それでも返済が行われないときは、中断期間が終了する前に上記の裁判上の請求を起こさないと時効の中断が無効になります。

時効成立後にお金を借りるときには制限を受ける

借金の時効が成立すれば、借りたお金を返さなくてもよくなりますが、そのかわりお金を借りるときに制限を受けることになります。複数の借金がある方は、借金の一本化も検討してみてもいいと思います。

クレジットカードや金融機関などでお金を借りるときは、信用情報機関に履歴がのこります。この信用情報機関には、お金の貸し借りの情報が集まっており、カード会社や金融機関は、信用情報機関の履歴を調べて、お金を貸してよい相手かどうかを判断しています。

もし返済していない借金があると、信用情報機関の履歴に延滞が記録されます。さらに時効になって借金がなくなっても、時効が成立した履歴は5年間のこります。そのためこの履歴が消えるまで、金融機関で新しい借入をしようとしても審査で落とされるほか、クレジットカードを作ることもできません。

また5年が過ぎても、借金を踏み倒した会社には情報がのこっていることが多いので、同じ会社でカードが作れなくなることやお金を借りられなくなることがあります。後々の生活にも大きく影響するので、借金の時効を利用するかどうかは慎重に決めたほうがよいでしょう。

管理人

いやー・・為になったわ・・。


天使

あれ?今借金踏み倒そうとか思ったりした?それは止めておいた方が良いよ。


管理人

なんでだよ。


天使

5年~10年の間、督促される生活なんて嫌じゃない?しかも、先述した条件によっては10年以上かかるよ。時効を待つより借金を返すことを考えた方が良いよ。

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