急な出費などで現金が必要になったときに、現金を手に入れる手段として消費者金融のキャッシングやクレジットカードのキャッシング枠を利用したキャッシングが挙げられます。両社とも利用金利が高いことで利用に対して抵抗がある方も少ないと言えるでしょう。
そこで注目されるのが、ショッピング枠を利用して現金を手に入れる方法なのですが、実はこの行為はクレジットカード会社の利用規約の中で禁止されています。
しかしインターネットの中では「クレジットカード現金化業者」の広告や利用方法が非常に多く開示されていて、問題無く利用できるような気持ちになるのも事実です。ただ残念ながらクレジットカードの現金化については未成年の場合利用できません。
今回はクレジットカードの現金化についてとなぜ未成年は利用できないかの理由を紐解きながら紹介していきます。
目次
そもそも、クレジットカードの現金化とはどういうことなのか?
インターネットで「クレジットカード現金化」と検索すれば、膨大な量の情報がヒットします。クレジットカードはショッピング枠とキャッシング枠の二つのカテゴリーを併せ持っています。
クレジットカードを利用してATMから現金を引き出す場合はキャッシング枠が適用され、返済までに利用金利が発生します。
一方買い物でクレジットカードを利用する場合は、決済手数料が発生するのですが、実際は加盟店と呼ばれる店舗側が負担し利用者側に請求されることは少ないです。そこでショッピング枠を利用して現金を手に入れる方法が「クレジットカード現金化」と呼ばれています。
本稿ではこの「クレジットカードのショッピング枠を利用して現金を手に入れること」をクレジットカードの現金化と定義して書き進めます。
クレジットカード現金化の方法とメリット・デメリットは?
クレジットカード現金化の方法は次に挙げる2つに大別することができます。
〇クレジットカード現金化業者を利用して現金を手に入れる
この二つの方法でショッピング枠を現金化することが可能です。商品を購入して転売する場合はメリットとして商品によって高い現金換金率を手にすることができる可能性がありますが、手間がかかるのがデメリットと言えるでしょう。
一方、クレジットカード現金化業者を利用すれば簡単に現金が手に入るメリットがある反面、現金換金率が低くなってしまうのがデメリットです。
クレジットカード現金化業者はショッピング枠の決済手数料に利益を加算して利用者に負担させることで、現金を手渡してくれますが、現金換金率は65%~80%と非常に効率が悪いと言えるでしょう。
クレジットカードの現金化に対する法的規制は?
クレジットカードのショッピング枠を現金化する利用者側の行為を規制する法律は現在のところ存在しません。クレジットカードの利用規定の中で禁止されてはいますが、現実的には法的規制は受けないと言えるでしょう。
一方、クレジットカード現金化業者に対して警察庁は「ショッピングを装った現金の貸付を行う事実上の金融業者である」との見解から金融業と認定し、貸金業法の規制を受けることになっています。
貸金業法に基づいた登録が必要となり、未登録の業者は貸金業法違反で取り締まりの対象と成ります。同時に決算手数料として徴収する金額も出資法で定められた上限金利を超過した場合は出資法違反として取り締まりの対象と成ります。
公安委員会の許可を受けた業者として合法な業者であることを謳う、クレジットカード現金化業者も散見します。
しかしながら公安委員会が発行しているのは「古物商の許可」のみであり、中古品の売買を許可しているだけで、クレジットカードのショッピング枠の現金化を許可しているのではないので注意が必要です。
クレジットカードの現金化の未成年者の利用は?
クレジットカード現金化業者の利用条件として、本人名義の与信残高が残っているクレジットカードであることが前提となります。
つまり自分名義のクレジットカードを所有していることが必要なのですが、クレジットカードの発行条件として発行対象年齢が高校生を除く18歳以上であることが多く、圧倒的多数の未成年者がカードを持てないことから状況的に未成年のクレジットカード現金化は非現実的な話となってきます。
ショッピング枠を利用して購入した商品の転売については、古物営業法の規制を受けるために売却時に「保護者の同意書や捺印」が必要となります。
子供時代にゲームソフトや漫画本を売ろうとして、断られた経験を持つ方は少なくないと思います。このように転売時には身分証明書が必要となりますし、未成年者からの買取は行わない業者が多く、未成年者が転売によってクレジットカードの現金化を行うことは現実的ではないと言えるでしょう。
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クレジットカード現金化の利用者に対する法規制は本当にないのか?
既に「クレジットカードの現金化に対する法的規制」の項で現状では利用者に対する法的規制がないことを紹介しました。クレジットカード現金化業者の違法性についても紹介しました。
事実逮捕者も出ていますので、警察の取り締まりは厳しくなっている傾向にあります。クレジットカード現金化は実は利用者側も100%シロとは言い切れないグレーゾーンにある行為なのでこの点について少し掘り下げます。
現状ではクレジットカード現金化の利用者側に検挙者や逮捕者は出ていません。しかし違法業者を利用することに対して全く問題がないとも言えないのも事実です。
いつ何時、法解釈や適応範囲の拡大が行われるかは、当局関係者以外の誰にも分かりません。もし利用者が取り締まりの対象となるのであれば、どのような法律に違反していると判断されるのかを紹介します。
適応される可能性がある罪状「横領罪と詐欺罪」とは?
クレジットカードで購入した商品の所有権は、商品代金が完済されるまでクレジットカード会社にあります。購入直後の商品代金未払いの状態で転売する行為は「横領罪」の適応を受ける可能性があります。
同時に現金化のためにクレジットカードを使用して商品を購入する行為は、クレジットカード会社を謀って金銭を搾取する行為である「詐欺罪」適応の可能性も孕む非常に危険な行為だと言えるでしょう。
万が一これらの罪状を適応された場合は、警察に拘束され起訴されることが考えられられます。クレジットカード現金化業者も、これらの違法性の高いグレーゾーンに未成年者を巻き込むことで事件が立件された場合のダメージが大きいことから、利用者の年齢に対しては敏感にならざるを得ないと考えられます。
なぜ未成年でも利用可!を謳う現金化業者の広告が後を絶たないのか?
未成年のクレジットカード現金化が可能と謳われている多くのサイトを見ると、圧倒的に比較サイトが多いのが実情です。広告収入目的の比較サイトや、アフィリエイト目的のサイトの中では玉虫色にとれる曖昧な謳い文句でクリックすることを促します。
実際にサイトを訪問してみても、買取り業者や還元式業者どちらの業者からも未成年者の利用は断られてしまいます。都合の良い謳い文句はクリックを促すだけの呼び水と言っても過言ではないでしょう。
クレジットカード現金化業者に対する口コミも20代以上のものばかりで、未成年者の利用は事実上皆無であると考えられます。
クレジットカード現金化業者以外の正規の貸金業者でも、未成年者に対する貸し付けはリスクが高すぎるため慎重になります。たとえ利用可能となる場合でも、やはり保護者の承諾書の提出が求められるのが現状です。
このような状況を照らし合わせた結果、未成年者のクレジットカード現金化は現実的には無理であると言えるでしょう。